隊長と呼ばれた女
さて、今日は昨日の続きです。題して、「隊長と呼ばれた女」。。。
隊長。
とある会社でこう呼ばれ出したのがきっかけで、現在に至るまで、「隊長」は管理人である私の日常生活における呼び名のひとつになってます。
まだ記憶に新しいかと思いますが、2001年1月に中央省庁が再編を行いました。いくつかの「省」や「庁」が統合されたり、「大蔵省」や「通産省」がそれぞれ「財務省」「経済産業省」と名前を変えたりしましたよね。
その省庁再編を数ヵ月後に控えた頃、官庁や一般企業を主な得意先とする会社に私は転職し、いわゆる「法人営業」の仕事を始めました。
官庁を顧客に持つ会社にとって、この省庁再編は大きなイベントでした。再編を契機にマーケットの拡大も縮小も可能になってくるからです。
つまり、今まではいつも他社に取られていた省庁の仕事でも、再編でシステムが変われば、仕事をもらえるチャンスが出てくるというわけです。その逆のパターンもまた然り。
そういう、いわば会社にとって大事な時期に、たまたま私の入社が重なりました。
入社して数日後、私は上司や先輩が私をあだ名で呼び始めていることに気がつきました。そして、そのあだ名が・・・。
「中央省庁再編特別拡販斬り込み隊長」、略して、「隊長」。
つまるところ、会社は私に求めたのです。
「再編で他社に仕事を持って行かれるかもしれないんだから、マーケットを『行け行けドンドン』で斬り込んで、ひとつでも多くの仕事を取って来い!!」と。
営業として採用したんですからね。
まあ、その事情は分かるとしても、でも、なんで私が「隊長」なわけ?! 会社の雰囲気にだってまだ溶け込めてもいないのに、いきなり「隊長!」って呼ばれてもサ、「はあーい!」なんて返事できるわけないじゃないの・・・!
こんな風に心の中で少々反発した私は、彼らに言いました。一応新入社員なのでそれは丁寧に。
「あのう、私のことは本名である『はぎ』と呼んで頂けないでしょうか・・・・・・」
完全に無視されました・・・。
新しい会社に入ってまずすべきことは、自分の意見を主張するのはとりあえずさておいて、その会社の慣習に合わせるべく努力すること。これが転職を重ねてきた私のモットーでした。
が、まさか、新しい会社で最初に慣れることが、「『隊長!』と呼ばれること」であったとは・・・・・・。
それは抵抗がありましたね。だって、隊長とか隊員とかなんて、なんだか『ウルトラマン』みたいじゃありませんか!!
けれども。
すぐに慣れざるを得ませんでした。
会社のトップまでもが、
「隊長、調子はどうだい?」
なんて聞いてくるんですから・・・。無駄な抵抗は止めました。
それからは、
「はぎですね。少々お待ち下さい」
と私宛の電話に至極丁寧に答えた上司や同僚が、
「隊長~! 1番に○○会社の××さんから電話だよ!!」
と突如叫んだとしても、
「はあーい!」
となんの抵抗もためらいもなく受話器を取る私の姿がありました・・・・・・。
数年後、私はこの会社を辞め、イギリスに住むことになりました。
現地で出会った外国人の友達に、日本で隊長と呼ばれていたことを話すと、彼らは面白がって私を英語で隊長と呼ぶようになりました。コマンダー(Commander)と。
「隊長」を英語に訳した場合、おそらく「キャプテン(Captain)」のほうが近いのでしょうけれど、英語の拙い私が「コマンダー」と訳して彼らに教えてしまったために、以後彼らにとって私はCommanderです。
日本での生活を再び始めた私のもとには、世界のあちこちに散らばった彼らから、「Dear Commander」で始まるメールが今も届きます。。。
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